2000/03/15 暫定公開
柿木将棋 いわずとしれた有名将棋ソフトである。現時点で最強の一角であることは間違いない。第1回コンピュータ将棋王者決定戦では見事YSSと同率で優勝を遂げた。何しろ自分の将棋ソフトの開発当初からの練習相手であり、常に私の目標でありつづけている。昨年の「永世名人(吉村氏)」に続き第1局目での市販将棋ソフトとの対局となった。それにしてもCPUがPentiumIIIの880MHzとはすごい。しかしこの処理速度の差は対局内容にはさほど影響がなかったと思う。柿木将棋の指し手は早く、丸電将棋は持ち時間を目いっぱい使っていたからだ。
会場に到着して第1局目の対戦を見るとなんと「柿木将棋」!昨年の永世名人戦ではみっともない対局となっていたのでまたそうならないかと心配した。今年でCSA選手権参加も3回目。柿木さんも私の顔を見るとすぐに分かり声をかけてきた。「どうぞお手柔らかに」と私がいうと「いやあ指すのは私ではなくプログラムだから。。。」と苦笑い。対局前には詰パラに連載している「こすもす81」のことなどを話してくださった。エンディングを知っている柿木さんは「このままいくともう少しで終わってしまいますねえ」と少し残念そう。ちょっとうれしかった。
先手:丸電将棋 Aptiva (K6-2 400 MHz)
後手:柿木将棋 自作(PentiumIII/880MHz)
さて、対局である。実は前日に「柿木将棋II」のレベル5とテスト対戦を行っていた。丸電将棋の負けは負けだったが序盤からむちゃくちゃな戦型となり、もう少しで勝ちというところまでいってとても惜しかった。そして本番。対局が始まるとまさに丸電将棋は戦型無視の序盤。25まで歩を伸ばしながら飛車を振るという無茶苦茶さ。私は昨日のようなにうまくいくことはないと思い、早々に負けを覚悟し、柿木さんも楽勝ムードだった。どうですかと覗きにきた飯田5段も盤面を見て言葉を失っていた。
序盤から丸電将棋の長考の連続。柿木さんは「長考しますねえ」。丸電将棋は駒がぶつからないうちに10分以上を消費。しかし持ち時間に関してはほとんど心配はしていなかった。前日に22分と23分持ち時間を使いきったところでレベルを下げるようにしておいたので切れ負けだけはないと思っていた(切れ負けの前につまされる)。むしろ柿木さんが心配そうで「時間は大丈夫ですか」と聞いてきた。
柿木将棋は矢倉。しかし22に角が残った状態で玉は31でストップ。丸電将棋のむちゃくちゃな序盤に惑わされたようだ。柿木将棋の角は最後まで働かずじまいだった(いいかえれば角なしでも勝てた)。実際のところ、柿木将棋相手では当たり前に指したのでは当たり前に負けてしまう。前日のテスト対局のことを思い出し、「柿木将棋」にはこういうのが有効なのかな、と思ったりしたが、こちらの陣形もひどい。
6筋でついに戦闘開始。丸電将棋は居玉である。ここから丸電将棋の思考は急に早くなっていった。そして予想外のことが起こり始めた。今年初めて搭載した「相手の思考中にこちらも思考を行う」ルーチンは相手の手を予測し、その応手を思考し予測手が当たった場合ノータイムでその応手を指すというものだが丸電将棋がノータイムで手を返す事態が生じた!!いずれは負けるだろうとは思いつつも、これはうれしかった。予測手がヒットするのは当然の1着の場合が多いのだがそれにしても丸電将棋が考えたとおりの手を柿木将棋が指しているのを見たときは感動した。しかもあっけなく短手数で投了と思われたのがすでに100手を越え、なんか目の前で行われている対局が将棋っぽいのだ!
すでに敗色濃厚ではあったが香車による飛車金両取り(!)がかかり、とても満足のいく対局となってていった。
最後は丸電将棋も観念し、竜を作って形作り(もちろんそんなルーチンはない)。114手で丸電将棋の投了となった。
50手前後には局面評価がプラス500点を越えていた。通常なら800点で丸電将棋はほとんど負けないことを思うと、もう少しがんばれれば柿木さんをひやりとさせることができたはずであった。柿木さん、どうもありがとうございました。また来年がんばります。いずれにせよ本当の戦いはこれから残りの8局である。苦悩の連敗はまだ始まったばかりだった。
持ち時間消費(丸電将棋側の時間計測による)
丸電将棋:15分32秒
柿木将棋:9分33秒
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